大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和24年(れ)1618号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人大隅四郎の上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載の通りである。

第二点について。

記録を調査するに原審における裁判長は事実並に証拠調を終ったことを告げた旨の記載はなく、また檢事が事実及び法律適用につき意見を陳べた旨の記載のないことは所論の通りである、しかし裁判長が証拠調を終り被告人に対し意見弁解の有無を問い且つ利益な証拠があれば提出できる旨を告げ之れに対し被告人は無いと答えたときは裁判長からことさらに事実並に証拠調を終った旨を告げなくとも特に檢事の発言を禁じない限り檢事は意見陳述の機会を與えられたものと解し得る、從って論旨は採用し難い。(その他の判決理由は省略する。)

よって旧刑事訴訟法第四四六條により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例